医療従事者との良好なコミュニケーション
監修:平山貴敏先生(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)

患者さんご自身が納得してがんの治療に向き合っていくためには、医療従事者と良好なコミュニケーションをとることが欠かせません。
医療従事者に伝えたい希望や思いを整理して、事前に準備しておくと会話がスムーズに進みやすくなります。

ここでは、医療従事者とスムーズにコミュニケーションをとる意義やコツについて紹介します。

医療従事者とのコミュニケーションイメージ(イラスト)

医療従事者も患者さんのことを知りたい

患者さんが医療従事者にいろいろと聞きたいと思っているのと同様に、医療従事者も患者さんやご家族のことをよく理解したうえで病状や治療方法をきちんと説明したいと思っています。

医療従事者も、十分な対話の時間を作るためのさまざまな工夫や努力をしていることが多いですが、それでも対話が不十分になってしまうこともあります。そんなとき、患者さん側から医療従事者に希望や考えをしっかりと伝え、「双方向」のコミュニケーションをとることができると、医療従事者側も患者さんの思いをくみ取りながら、治療の方針を一緒に決めていくことができます。

実践したい医療従事者とのコミュニケーション――“THANKS”がキーワード

医療従事者とコミュニケーションをとる際のコツが詰まったキーワード“THANKS”をご紹介します。

実践したい医療従事者とのコミュニケーション“THANKS” 実践したい医療従事者とのコミュニケーション“THANKS”
  • 提供:平山貴敏先生(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)
T:てつだってもらおう

がんの治療にはさまざまな方の手助けが必要です。ご家族や友人など信頼できる人に手伝ってもらいながら、主治医をはじめとした医療従事者にも手伝ってもらいましょう

H:はやめのタイミングで

がん治療において、がんの進行や治療による副作用等に対する早めの対応はとても重要です。何か気になることがあれば、早めに医療従事者に相談しましょう。また、医療従事者との面談や診察の時間はあっという間に過ぎてしまうものです。大事なことは面談や診察の早めのタイミングで聞くようにしましょう。

A:あいさつを心がけよう

通院の際に緊張や不安を感じたときは、部屋に入る際に声を出してあいさつすることを心がけてみましょう。声を出すことで緊張がほぐれ、あいさつをきっかけに話しやすい雰囲気になることもあります。

N:なっとくしながら進もう

ひとつひとつ、できるだけ納得しながら進んでいきましょう。主治医の説明に納得できなければ、その場で質問するか、持ち帰って次回に質問するのもひとつの方法です。

K:かみに書こう

聞きたいこと、伝えたいことは事前に紙に書き出しておきましょう。また、主治医の話を書き留めておくと、あとからわからないことを質問することもできます。

S:しんらいしよう

最後に、ご自身が納得して治療を受けるためには、医療従事者と信頼関係を築くことが何よりも大切です。世の中には多くの情報があふれ、信頼できる情報かどうかの判断が難しいこともあります。信頼性に乏しい情報にまどわされないためにも、医療従事者を信じて何でも相談してみましょう。

「受診チェックリスト」で情報を整理

受診する前に、「受診チェックリスト」 を活用して、これまでの病状や服用中の薬などの情報を整理し、診察時に質問したいことをまとめておくと便利です。

受診チェックリストには、「がんの種類について(診断時)」「治療について」「日常生活について」に関する質問の例が記載されています。このように、ご自身の状況や心配事に基づいて大枠で考えてみると、聞いておきたいことが整理できるかもしれません。

事前に自分の考えを整理しておくと、限られた時間内でも主治医に伝えておきたい情報をスムーズに伝えるのに役立ちます。

全てを一度に実行するのは難しいことです。少しずつご自分のペースで病状や希望、意思、心配事をきちんと医療従事者側に伝えていけるように意識するだけでもコミュニケーションに良い変化があるかもしれません。

症状や治療についてだけでなく、ときには自分の気持ちを打ち明けながら医療従事者とコミュニケーションをとってみませんか。

  • 参考文献
  • *1 国立がん研究センター東病院 精神腫瘍学開発部「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」
    (https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/psychiatry/psychiatry_panfu.pdf、2024年9月確認)

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