治療薬を選ぶための検査
(遺伝子検査)

あなたに適した治療薬を選ぶために、
遺伝子検査を行うことがあります

子宮体がんでは、手術や

生検

病変の一部をとって、顕微鏡で詳しく調べる検査のことをいいます。手術や内視鏡検査時に採取したり、体外から細い針を刺して採取したりする方法があります。

などで得られた組織を用いてがん

遺伝子検査

遺伝子情報を知るためにおこなう検査のことをいいます。一部のがんでは、がん組織中の遺伝子を調べる検査、親から受け継いでいる遺伝子を調べる検査がおこなわれます。患者さん一人ひとりに適した個別化医療のためには、遺伝子検査の情報が必要となることがあります。

を行い、その結果にもとづいて、一人ひとりに適した治療薬を選択できる場合があります。

子宮体がんで検出される
遺伝子の変化

様々ながん種の中でも、子宮体がんは高頻度マイクロサテライト不安定性/DNAミスマッチ修復機能欠損(MSI-High/dMMR)という遺伝子の変化を示す頻度が高いことが知られています。
また、がん細胞が持つ遺伝子変異の数が高い(腫瘍遺伝子変異量が高い:TMB-High)状態が一定割合でみられます。

MSI/MMR:Microsatellite instability/Mismatch repair

TMB:Tumor mutation burden

【図】がん種別MSI-High検出頻度(日本人:固形がん)
がん種別MSI-High検出頻度を表す棒グラフ

Akagi K, et al. Cancer Sci 2021; 112: 1105-1113 より作成

【図】がん種別TMB-High検出頻度
(海外データ)
がん種別TMB-High検出頻度を表す棒グラフ

Chan TA, et al. Ann Oncol 2019; 30: 44-56. より作成

子宮体がんと
MMR機能*1*2

DNA配列において、数塩基以内の短い塩基配列が何回も続いている部分を、マイクロサテライトと呼びます。細胞分裂のためにDNAが複製(コピー)される際、DNAの読み間違いにより、繰り返し回数が増えることがあります(エラー)。
この細胞分裂時に起こるエラーを修復して、誤った情報が新たな細胞に伝わらないようにする(DNAミスマッチ修復:MMR)機能が、細胞には備わっています。
MMR機能が欠損すると、エラーが修復されずに蓄積した状態(マイクロサテライト不安定性:MSI)となり、子宮体がんの発生につながると考えられています。

マイクロサテライト不安定性が高頻度に認められる場合を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼びます。

【図】MMR機能欠損とMSI-Highがん
MMR機能欠損とMSI-Highがんを表した図

Eso Y, et al. J Gastroenterol 2020; 55: 15-26. より作成

がん細胞が持つTMB*1*3

がん細胞は紫外線や喫煙、ウイルスなどの外的要因、細胞分裂時に偶然生じるエラーなどの内的要因により、DNAに傷がつき、遺伝子の変化が生じて発生します。そのため、正常な細胞と比較して、がん細胞は多くの遺伝子の変化を持ちます。
がん細胞が持つ遺伝子変異の量を腫瘍遺伝子変異量(TMB)といいます。

【図】遺伝子の変化とがんの発生
遺伝子の変化とがんの発生を表した図

がん遺伝子検査と治療薬

MMRタンパク質免疫染色検査(MMR IHC検査)やMSI検査、TMB測定を通して、がん細胞の状態を評価することで、
治療薬の選択に役立てることができます。

  • 日本臨床腫瘍学会/日本癌治療学会/日本小児血液・がん学会(編):成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン 第3版,金原出版, 2022
  • 遺伝性疾患プラス「リンチ症候群」(https://genetics.qlife.jp/diseases/lynch、2024年9月確認)
  • 日本バイオセラピィ学会(編):よくわかるがん免疫療法ガイドブック-患者さんとご家族のために- 第2版, 金原出版, 2023

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