あなたにあわせた
治療方針
あなたのからだの状態にあわせて、
治療方針を検討します
子宮頸がん治療の流れ

進行期Ⅱ期までは「放射線治療」「同時化学放射線療法」「手術」が、根治を目指した治療選択肢として検討されます。
その他に薬物治療を行うこともあります。
子宮頸がん(前がん病変)の診断
画像診断などによる
進行期の判定
病理診断による
組織型の診断
治療方針の検討
進行期や一人ひとりの状態に
あわせた
治療方針の検討
進行期に応じた治療方針
前がん病変・進行期ⅠA期
手術
(子宮頸部円錐切除術)
手術で摘出した組織の検査
(組織診など)
追加治療を含めた
治療方針の検討
(経過観察、再円錐切除術、
子宮全摘出術、放射線治療)
進行期ⅠB〜Ⅱ期
放射線治療
同時化学放射線療法
手術(子宮全摘出術)
手術で摘出した組織の検査
(組織診など)
再発リスクに応じた
術後治療の検討
(経過観察、放射線治療、
同時化学放射線療法)
進行期Ⅲ〜Ⅳ期
同時化学放射線療法
薬物治療
放射線治療
埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 診療部長・教授 長谷川 幸清先生ご監修
進行期により手術の範囲は異なりますが、主に開腹手術を行います。
また、骨盤内のリンパ節はがんが転移しやすい場所のため、病変とあわせて骨盤内のリンパ節を取り除くことがあります(骨盤リンパ節郭清)。
近年、センチネルリンパ節(最初に転移が生じると考えられるリンパ節)への転移の有無を手術中に病理診断し、転移がない場合はリンパ節郭清を省略する検討が進められています。
からだの外から放射線を照射する外部照射、子宮や腟に特殊な器具を入れて放射線を照射する腔内照射を行うことがあります。
放射線治療と同時に薬物治療を行うことがあります*1。
プラチナ製剤は放射線治療の効果を高めることが知られています*1*2。
また、放射線を照射する部位以外に広がっている可能性のあるがん細胞にも効果が期待されます。
あなたのからだの状態にあわせて、以下のお薬を点滴したり、内服することがあります。
- ①細胞障害性抗がん薬
-
増殖が盛んながん細胞に対して治療効果を発揮します。
プラチナ製剤やタキサン系製剤があります。
- ②免疫チェックポイント阻害薬
- がん細胞に対するからだの免疫機能を高めます。
- ③分子標的薬
- がんに栄養や酸素を運ぶ血管の形成に必要な物質(血管内皮細胞増殖因子)に作用して、がんの成長や増殖を抑える血管新生阻害薬があります。
放射線治療と比べて病変に照射を集中できるため、放射線が効きにくい大きな病変に対して効果が期待されます。
実施できる施設や対象となる方は限られています。
手術や薬物治療などの積極的な治療ではなく、痛みや精神的な苦痛を和らげたり、生活の質の維持や向上を目指した治療を行うことです。
-
病理診断/病理検査
身体の一部分から採取した細胞や、病変の一部を薄く切り出した組織を顕微鏡で観察することにより、がんかどうか、どのような種類のがんかなど、細胞や組織の性質を詳しく調べる検査のことをいいます。
-
再発
手術や薬物療法、放射線治療などの治療により、検査でがんがなくなったことを確認した後、再びがんが現れることをいいます。
-
リンパ節
身体全体にある免疫器官のことをいいます。全身の組織から集まったリンパ液が流れるリンパ管の途中にあり、細菌、ウイルス、がん細胞などがないかをチェックし、免疫機能を発動する「関所」のような役割を持ちます。
-
転移
がん細胞が最初に発生した場所(原発巣)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。
-
リンパ節郭清
手術の際に、がんを取り除くだけでなく、がんの周辺にあるリンパ節を切除することをいいます。がん細胞はリンパ節をとおって全身に広がっていく性質があるため、がんが転移している可能性がある部分を取り除いて、再発を防ぐことを目的としておこないます。
手術(子宮頸部円錐切除術)により病変を取り除くと同時に、
摘出した組織を調べて前がん病変なのか、子宮頸がんなのかを正確に診断します。
摘出した組織の検査結果から、一人ひとりの状態や妊娠希望の有無にあわせて、
経過観察や再円錐切除術、子宮全摘出術、放射線治療などの追加治療を含めた治療方針を検討します。
子宮頸部円錐切除術とは*1
子宮頸部を円錐状に1〜2cm切除する手術で、要する時間は30分程度です。
日帰りまたは1〜3日ほどの入院で手術が可能です。
子宮体部を温存できるため、治療後に妊娠を検討できます。
子宮頸がんと妊娠・出産

がんの位置や広がりの程度により、卵巣や子宮を残せることがあります。
また、妊娠中に子宮頸がんと診断された場合でも、
多くの方で出産が期待できます。
「放射線治療」、薬物治療と放射線治療を併用する「同時化学放射線療法」、「手術」が、
根治を目指した治療選択肢として検討されます。
手術によりがんを摘出した場合
術後補助療法
がんが再発する可能性を低くすることを目的に、手術後に薬物療法をおこなうことをいいます。
治療方針
日本婦人科腫瘍学会(編): 子宮頸癌治療ガイドライン 2022年版, 金原出版, 2022
以下の再発リスク因子のいずれかが認められた場合は、
術後治療として放射線治療や同時化学放射線療法を行うことがあります。
中リスク因子
- がんのサイズが大きい(最大径が4cm以上):子宮頸部腫大
-
がんが子宮頸部の組織に深く
浸潤
がんが周囲に染み出るように広がっていくことをいいます。
- がんが子宮頸部組織内の血管やリンパ管に入り込んでいる:脈管侵襲
高リスク因子
- 手術でがんを取りきれなかった:手術断端陽性
- がんが子宮頸部周囲組織に浸潤している:子宮傍組織浸潤
- がんが骨盤リンパ節に転移している:骨盤リンパ節転移
日本婦人科腫瘍学会(編): 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023
あなたのからだの状態にあわせて主に同時化学放射線療法や薬物治療が検討されます。
遠隔転移
がん細胞が最初に発生した場所(原発巣)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、遠隔部位で増えることをいいます。
治療や日常生活に関する
相談方法・窓口
相談方法・窓口
「セカンドオピニオン」を利用して、現在診療を受けている主治医以外に、別の医療機関の医師の意見を聞くことができます。
これは今後も現在の主治医のもとで治療を受けることを前提にしているものです。
セカンドオピニオンを利用するとき(例)
- がんと診断された。担当医から説明を受けたが、診断について別の医師の意見を聞きたい。
- がんと診断され、治療選択について説明を受けたが、決められない。
- 担当医の意見を別の角度からも検討したい。
- 担当医の話に納得がいかない部分がある。
- 再発の診断を受けたが、担当医が提示する以外にも治療の選択肢がないかを知りたい。
国立がん研究センターがん情報サービス
「セカンドオピニオン」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/second_opinion.html、2024年9月確認)

全国にある、どなたでも無料・匿名で利用できるがんに関する相談窓口です。
- 治療のこと
- 希少がんのこと
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- AYA世代(15歳~30歳代)のがんのこと
- 妊よう性、性に関すること
国立がん研究センターがん情報サービス 「『がん相談支援センター』とは」
(https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html、2024年9月確認)
「がん相談支援センター」では、診断や治療の状況にかかわらず、どんなタイミングでも無料で「セカンドオピニオン」を含めた様々なことを相談できます。
その悩み、話してみませんか?がん相談支援センターで相談できること|がんになっても- 日本婦人科腫瘍学会(編): 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023
- 国立がん研究センターがん情報サービス 子宮頸がん「子宮頸がん 治療」(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html、2024年9月確認)