卵巣がん患者のライフスタイルよくあるお悩み

妊娠・出産について

卵巣がんと診断されました。今後、妊娠・出産はあきらめなければなりませんか?

卵巣がんの標準手術では、両側の卵巣・卵管、子宮を摘出することから、妊娠する能力(妊よう性)が失われてしまいます。

しかし、早期で見つかった場合、がんがない側の卵巣・卵管と子宮は残して手術することで、妊よう性を残すことが可能な場合があります。妊よう性を残す治療を行うには、がんが初期であることや悪性度が低いことなど、多くの条件を満たす必要があります。さらに、患者さんが妊娠への強い希望があるといったことが条件になります。妊よう性温存を希望される場合には担当医と相談し、リスクを理解して選択することが重要です。

【参考文献】

日本婦人科腫瘍学会 編:患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第3版, 金原出版, 2023

国立がん研究センターがん情報サービス 妊孕性(にんようせい)

(https://ganjoho.jp/public/support/fertility/index.html)

手術をしたら、性交渉を持つことはできなくなるのでしょうか?

子宮を摘出した場合でも、膣は残りますので、性交渉自体は問題なく可能です。ただし、手術の傷が回復する前など性行為を控えたほうがよい時期もありますので、主治医や看護師にご相談ください。

【参考文献】

日本婦人科腫瘍学会 編:患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第3版, 金原出版, 2023

仕事について

仕事をしています。治療のためにどのくらい休む必要がありますか?

卵巣がんの治療は、進行期によって、手術だけで終わる場合から、手術後に抗がん剤などの薬物療法を行う場合まで、患者さんによってさまざまです。薬物療法については、外来通院で治療を受けられる場合も多くなっています。したがって、自分の治療スケジュールの見通しを主治医にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

また、職場の就業規則(年次有給休暇の日数や取得方法、休職制度、復職制度など)についても確認しておきましょう。各都道府県のがん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」で、治療や仕事との両立について相談してみるのもいいでしょう。がん相談支援センターは、その病院に通院していない方でも利用可能です。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 治療

(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

国立がん研究センターがん情報サービス 診断から復職まで

(https://ganjoho.jp/public/institution/qa/all/qa01.html)

仕事をしていますが、退職したほうが良いでしょうか?

がんと診断されると、仕事はとても続けられないと考えて、退職を申し出てしまう人も少なくありません。しかし近年は、がんの治療と仕事を両立するための環境が整いつつあります。

一定期間入院が必要な治療もありますが、薬物療法などは外来通院で治療を受けることも多くなっています。有給休暇や傷病休暇、休職制度などを利用しつつ、治療が一段落すれば、また仕事に復帰することは十分に可能です。

がんの治療費の経済的な支えという点でも、今の仕事を継続することは大きな意味があります。仕事と治療の両立について、職場の上司や人事部門、もしくは各都道府県のがん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」の相談員などに相談してみましょう。がん相談支援センターは、その病院に通院していない方でも利用可能です。

【参考文献】

アストラゼネカ株式会社 がんになっても「仕事と治療費 がん治療と就労」

(https://www.az-oncology.jp/guide/work/)

国立がん研究センターがん情報サービス 診断から復職まで

(https://ganjoho.jp/public/institution/qa/all/qa01.html)

食事について

治療中、食事で注意することはありますか?

日常生活の質を維持し、十分な治療を受けるためにも、エネルギーやタンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しないよう、バランスが取れた食事をとることが大切です。

ただし、病気や治療の影響で食欲がない、普段どおり食事がとれないということもあると思います。そうしたときには無理せず、食べられるタイミングで、食べられるものから食べましょう。医師から特別な指示がある場合を除けば、食事の内容が治療の経過に影響を及ぼすことはほとんどありません。

もし食事について迷ったり、疑問に思ったりすることがあれば、担当医や看護師、栄養士などに遠慮なく相談してみましょう。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス がんと食事

(https://ganjoho.jp/public/support/dietarylife/index.html)

食事療法というものがあると聞きました。効果はありますか?

がん患者さんやがんサバイバーに対するいわゆる食事療法、サプリメント、健康食品などについて、現時点でがんの再発率や生存率を改善すると科学的・医学的に実証されたものはありません。逆に、極端な制限を伴うような偏った食事療法は、患者さんのQOL(生活の質)を下げ、体に悪影響を与える場合もあります。

法外に高価な健康食品を利用することについても、慎重に考えた方がよいでしょう。不安を感じたらまず主治医に相談しましょう。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス がんと民間療法(健康食品・サプリメント・食事療法を中心に)

(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/cam/health_food_products.html)

運動について

治療後、運動はできますか?

適度な運動は、体力の維持・回復を助けるだけでなく、気分転換になります。

運動をはじめる時期などについては主治医に相談の上、家の中の生活にも慣れ、体力が回復してきたら、徐々に行うと良いでしょう。ただし、体調の悪いときには無理をせず、ゆっくり休みましょう。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス 体調を整えるには

(https://ganjoho.jp/public/support/hint/hikkei_03-02-01.html)

お金のこと

治療費はどのくらいかかるのでしょうか?お金のことを相談できるところはありますか?

がんの治療に関係するお金のうち、検査代、入院費、手術や放射線治療の費用、薬代などは公的医療保険が適用となります。

また、毎月治療費が一定以上の高額になった場合は、基準を超えた分が戻ってくる高額療養費制度もあります。

お金のことや利用できる制度に関する相談は、加入している健康保険組合や市区町村の窓口で受けられますが、「どこに相談したらいいのかわからない」というときには、まずは全国のがん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」に相談すると良いでしょう。がん相談支援センターは、その病院に通院していない方でも利用可能です。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス がんとお金

(https://ganjoho.jp/public/institution/backup/index.html)

卵巣がん患者のコミュニティ

同じ病気の方がどのような生活をしているのか知りたいです。

「患者会」とは、同じ病気や障がい、病状など、なんらかの共通する患者体験をもつ人たちが集まり、自主的に運営する会のことです。医師や家族に話せない治療の悩み、日常生活のことなどについて患者さんどうしで情報交換できる場となっています。

地域ごとの会やがんの種類別の会、患者さんのご家族が入れる会もあります。またLINEアプリ「わかる卵巣がん」内にも患者さんの体験談記事をご用意していますので、ぜひご利用ください。

患者体験談はLINEアプリ「わかる卵巣がん」でご覧いただけます。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス 患者同士の支え合いの場を利用しよう

(https://ganjoho.jp/public/support/hint/hikkei_02-01-08.html)

家族へのケア

遺伝性の卵巣がんだと診断されました。血縁者に遺伝子検査を勧めるべきでしょうか?

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)では、生まれつきBRCA1、もしくはBRCA2という遺伝子に病的な変異があることが原因で、乳がんや卵巣がんなどの発症リスクが高まります。HBOCと診断された方の血縁者も、同じBRCA遺伝子変異がある可能性があります。

そうしたことを伝えるべきか、どう伝えればよいか、どう役立てればよいかについては、専門的見地が必要です。

遺伝子検査を受ける方を対象に、専門知識をもつ医師やカウンセラーが遺伝に関する情報提供、心理面や社会面の支援をしてくれる「遺伝カウンセリング」がありますので、専門家とよく相談して決めましょう。

【参考文献】

日本婦人科腫瘍学会 編:患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン第3版, 金原出版, 2023

国立がん研究センターがん情報サービス 遺伝性腫瘍

(https://ganjoho.jp/public/cancer/hereditary_tumors/index.html)

日本遺伝カウンセリング学会 遺伝カウンセリングQ&A

(http://www.jsgc.jp/faq.html)

その他

卵巣がん治療を受けてから疲れやすくなったのですが、対応方法はないのでしょうか?

だるさや倦怠感(けんたいかん)、疲労感は、がんの治療中によくみられます。原因はがんそのものや治療の副作用、がんに伴う症状、精神的なストレスなどで、同時にいくつかの原因が重なっていることもあります。

だるさの原因(痛み、貧血、不安、不眠など)によっては、これを軽減する治療を行える場合があります。また、ご自身でできる工夫として十分な休息時間の確保や、趣味を楽しむことなどによる気分転換、また、ウォーキングやヨガ、体操などの有酸素運動も倦怠感を軽くすることに効果的だとされています。疲労感や倦怠感は医師が把握しにくいことが多いので、症状がきつい場合は、遠慮なく担当の医師や看護師に相談しましょう。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス だるさ・倦怠感

(https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue/index.html)

がん情報サイト PQD®日本語版最新がん情報 疲労

(https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062811)

治療中、治療後もこれまでどおりの普通の生活ができますか?

がんの治療においては、病気を治すことと同時に、生活の質を維持することも大変重要です。薬物療法は、通院による外来化学療法が増えており、仕事や家事、育児、介護など今までの日常生活を続けながら治療できるようになってきています。病気の前はできたことが、治療の過程でできなくなることもありますが、焦る必要はありません。ご家族や周囲の協力を得ながら、徐々に日常生活を取り戻していきましょう。

【参考文献】

国立がん研究センターがん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 療養

(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/follow_up.html)

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