子宮体がんとは

「子宮体がん」とは、
子宮体部(内膜)から発生する
悪性腫瘍です

子宮のしくみと発生部位

子宮体がんは子宮腔しきゅうくう子宮内膜しきゅうないまくから発生する

悪性腫瘍

細胞が無秩序に増えながら周囲にしみ込むように広がったり(浸潤)、血管などを介して身体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)する腫瘍のことをいいます(浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと大きくなる腫瘍を良性腫瘍といいます)。悪性腫瘍は放っておくと全身に広がり、身体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。悪性腫瘍は、身体や臓器の表面などを構成する細胞からできる「がん」と、骨や筋肉などを構成する細胞からできる「肉腫」に分類されます。

です。
子宮内膜がんとも呼ばれます。
【図】 発生部位
子宮断面図イラスト

子宮体がんに
かかりやすい年代

子宮体がんは40代後半から増加し、
50〜60代に発生のピークを迎えます。

【図】子宮体がんの罹患率
(年齢階級別:2019年)
子宮体がん罹患率の折れ線グラフ

国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報「子宮体部」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/18_corpus_uteri.html、2024年9月確認)

子宮体がん罹患数は
近年増加傾向です

近年、子宮体がんと診断される女性は
増加しています。

【図】罹患数と死亡数の推移
子宮体がんの罹患数と死亡数の推移を表す折れ線グラフ。資料:国立がん研究センターがん対策情報センター

国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報「子宮体部」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/18_corpus_uteri.html、2024年9月確認)

日本では年間で約18,000人が子宮体がんと診断され、約2,700人が子宮体がんが原因で亡くなられています。
早期で発見された子宮体がんは比較的

予後

病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことをいいます。

が良好ですが、進行性で発見された場合は治療が難しいとされています*1
【図】部位別がん罹患数(2019年)
女性部位別がん罹患数(2019年)の円グラフ。432,607例のうち子宮体部17,880例

がんの統計編集委員会 編, 「がんの統計2023」,
公益財団法人がん研究振興財団, p23より作成

【図】部位別がん死亡数(2021年)
女性部位別がん死亡数(2021年)159,038例のうち子宮体部2,741例

がんの統計編集委員会 編, 「がんの統計2023」,
公益財団法人がん研究振興財団, p15、72より作成

子宮体がんで
みられる症状*1*2

代表的な自覚症状は不正性器出血や帯下たいげ(おりもの)です。
病気が進行すると、下腹部や腰の痛み、足のむくみなどがあらわれることがあります。
  • 不正性器出血
    ・帯下

  • 下腹部の痛み

  • 腰の痛み

  • 足のむくみ

  • 不正性器出血

    月経ではない出血、または閉経後に出血がある

  • 帯下

    おりもの

子宮体がんを
発生する原因

女性ホルモンであるエストロゲンの長期間にわたる子宮内膜への刺激が、子宮体がんの発生リスクを高めると考えられています。
そのため、閉経が遅い、出産経験がないなどが主なリスク因子とされています。
また、食生活の変化が子宮体がん増加の要因となったり、遺伝子の異常が発生の原因となることが明らかにされてきています。

子宮体がんの主なリスク因子

  • 閉経が遅い
  • 前がん病変(子宮内膜異型増殖症しきゅうないまくいけいぞうしょくしょう)がある
  • 女性ホルモンの異常(月経不順、不妊症など)
  • 妊娠や出産経験がない、または少ない
  • 肥満
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • リンチ症候群

慶應義塾大学医学部 産婦人科学 教授 山上 亘先生ご監修

子宮体がんの特徴

子宮体がんはエストロゲンの関与により
大きくタイプ分類されます。

特徴 エストロゲンが関与するタイプ エストロゲンが関与しないタイプ
年齢 閉経前後に多く若年層にもみられる 閉経後に多い
腫瘍像 組織型そしきけい 類内膜るいないまくがんが多い 漿液性しょうえきせいがん、
明細胞めいさいぼうがんなどが多い
分化度 高分化が多い 低分化が多い
浸潤しんじゅん 浅い・少ない 深い・多い
転移 少ない 多い
進行度 緩やか 速い
前がん病変 子宮内膜異型増殖症 不明
予後 良好 不良

日本婦人科腫瘍学会(編): 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023

  • 浸潤

    がんが周囲に染み出るように広がっていくことをいいます。

  • 転移

    がん細胞が最初に発生した場所(原発巣げんぱつそう)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。

遺伝性の子宮体がんとは

多くのがんはエストロゲンや食生活などの環境要因により発生すると考えられていますが、
中には遺伝的な要因(体質)が主原因となって発生するがんが存在します。
子宮体がん全体の1〜4%に、リンチ症候群と呼ばれる遺伝性のがんが存在すると考えられています*1

リンチ症候群とは

大腸がん、子宮体がん、卵巣がん、胃がんなどを発生するリスクが高い遺伝性のがんです。

「DNAミスマッチ修復機能」に関わる遺伝子に生まれつき変化があることで、全身の様々な臓器にがんが発生するリスクが高くなります。

DNAミスマッチ修復機能に関わる
遺伝子とは

細胞分裂のDNA複製(コピー)時に起こるDNAの読み間違い(エラー)を修復して、誤った情報が複製された細胞に伝わらないようにする働きを持つ遺伝子です。

ただし、この遺伝子に変化があっても、必ずがんが発生したり、子供に確実に引き継がれるわけではありません。

【図】親から子への
遺伝形式
親から子への遺伝の仕組みを表した図。1/2の確率で子供に遺伝子の変化が引き継がれる。
【図】リンチ症候群に関連した
がんの発生率(70歳まで)
大腸がん: 男性54~74%、女性30~52%、子宮体がん: 女性28~60%、卵巣がん: 女性6.1~13.5%、胃がん: 男性・女性5.8~13%

大腸癌研究会「遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2020年版」より作成(https://www.jsccr.jp/guideline/2020/hereditary_particular.html、2024年9月確認)

  • 日本婦人科腫瘍学会(編): 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023
  • 日本婦人科腫瘍学会 市民の皆さまへ「子宮体がん」(https://jsgo.or.jp/public/taigan.html、 2024年9月確認)

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