子宮頸がんとは
子宮頸部から発生する
悪性腫瘍です
子宮のしくみと発生部位
悪性腫瘍
細胞が無秩序に増えながら周囲にしみ込むように広がったり(浸潤)、血管などを介して身体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)する腫瘍のことをいいます(浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと大きくなる腫瘍を良性腫瘍といいます)。悪性腫瘍は放っておくと全身に広がり、身体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。悪性腫瘍は、身体や臓器の表面などを構成する細胞からできる「がん」と、骨や筋肉などを構成する細胞からできる「肉腫」に分類されます。
子宮頸がんに
かかりやすい年代
かかりやすい年代
子宮頸がんは20代後半から増加しはじめ、
特に30〜50代で多くなります。
(年齢階級別:2019年)
国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報「子宮頸部」
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html、2024年9月確認)
子宮頸がんは
若い世代で増加傾向
若い世代で増加傾向

近年、20〜40代の若い世代で子宮頸がんと
診断される女性が増加しています。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))全国推計値:がん罹患データ(1975年~2015年)より作成
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#cancer、2024年9月確認)
早期で発見された子宮頸がんは比較的治療しやすく
予後
病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことをいいます。
がんの統計編集委員会 編, 「がんの統計2023」,
公益財団法人がん研究振興財団, p23より作成
がんの統計編集委員会 編, 「がんの統計2023」,
公益財団法人がん研究振興財団, p15,72より作成
子宮頸がんで
みられる症状*1*2
みられる症状*1*2
その他にも、においを伴う濃い茶色、水っぽいおりものや、粘液がたくさん出るなどの症状があらわれることもあります。
がんが子宮の外に広がると、多量の出血や骨盤、下腹部、腰の痛み、便や尿に血が混じる、
下肢のむくみなどがあらわれることがあります。
-
不正性器出血*
おりもの** -
骨盤や下腹部
腰の痛み -
便や尿に
血が混じる -
足のむくみ
*不正性器出血(特に接触出血)**おりもの(普段と異なるおりものが出る)
-
不正性器出血
月経ではない出血、または閉経後に出血がある
子宮頸がんを
発生する原因
発生する原因
その他に喫煙が子宮頸がんの発生を高める要因とされています*2。
HPVの多くは免疫の働きにより排除されますが、
ごく一部でウイルスが長期間感染し続ける状態(持続感染)となり、がんの発生につながると考えられています。
埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 診療部長・教授 長谷川 幸清先生ご監修
上皮の中に異型細胞が存在する状態を異形成と呼び、
扁平上皮がんの前がん病変であることが知られています。異形成がある病変を子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)と呼びます。
HPVに感染し持続感染となると、その一部が異形成を起こし、
さらにその異形成の一部が上皮内がんとなり、浸潤がんとなっていきます。
- 軽度異形成(CIN 1):異形成が上皮の1/3以内にとどまっている状態
- 中等度異形成(CIN 2):異形成が上皮の2/3以内にとどまっている状態
- 高度異形成(CIN 3):異形成が上皮の2/3をこえている状態
埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 診療部長・教授 長谷川 幸清先生ご監修
-
浸潤
がんが周囲に染み出るように広がっていくことをいいます。
腺がんでは扁平上皮がんのような段階的な変化は知られていませんが、
最も初期の腺がんとして上皮内腺がん(AIS)が知られています。
- 国立がん研究センターがん情報サービス 子宮頸がん「子宮頸がんについて」(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/about.html、2024年9月確認)
- 日本婦人科腫瘍学会(編): 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, 2023
- 工藤 梨沙ほか, MB ENT 2023; 281: 37-48