卵巣がんの治療卵巣がんと
診断されたら

がんが発見されたら、がん治療が始まります。
病気とうまく付き合うための情報を集めましょう。

卵巣がんには様々な種類があります。
今後の治療のために、分類、組織型、進行期などについて理解しましょう。

卵巣がんの分類

卵巣がんは、上皮、性索間質、胚細胞から発生することが知られています。*図1発症する場所により、「上皮性腫瘍」「性索間質性腫瘍」「胚細胞腫瘍」の3つに大きく分類されます。*1さらに腫瘍は良性、境界悪性/低悪性度/悪性度不明、または悪性に分けられます。*表1 *2

図1 卵巣がんが発生する組織図1 卵巣がんが発生する組織

上皮性腫瘍

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上皮性腫瘍

卵巣がん全体のおよそ90%が上皮性腫瘍です。上皮性腫瘍は、組織型により、「漿液性がん」「粘液性がん」「類内膜がん」「明細胞がん」の4つに大きく分けられます。*1 漿液性がんが多くを占め(約36%)、明細胞がん(約24%)、次いで類内膜がん(約17%)、粘液性がん(約11%)の順となっています。*図2 *3

図2 卵巣がんの組織型分類内訳*3

性索間質性腫瘍

性索間質性腫瘍

性索間質性腫瘍は卵巣がんの4%を
占めます。*1

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍は卵巣がんの5%を占め、10歳代の小・中学生から20歳代に多く発生します。*1

【表1 卵巣がんの臨床病理学的分類】*2

上皮性腫瘍

良性腫瘍
漿液性嚢胞腺腫・腺線維腫
漿液性表在性乳頭腫
粘性嚢胞腺腫・腺線維腫
類内膜嚢胞腺腫・腺線維腫
明細胞嚢胞腺腫・腺線維腫
ブレンナー腫瘍
漿液粘液性嚢胞腺腫・腺線維腫
子宮内膜症性嚢胞
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
漿液性境界悪性腫瘍
粘液性境界悪性腫瘍
類内膜境界悪性腫瘍
明細胞境界悪性腫瘍
境界悪性ブレンナー腫瘍
漿液性粘液性境界悪性腫瘍
微小乳頭状パターンを伴う漿液性境界悪性腫瘍※
悪性腫瘍
低異型度漿液性癌
高異型度漿液性癌
粘液性癌
類内膜癌
明細胞癌
悪性ブレンナー腫瘍
漿液粘液性癌
未分化癌
微小乳頭状パターンを伴う漿液性境界悪性腫瘍※
微小乳頭状パターンを伴う漿液性境界悪性腫瘍※

間葉系腫瘍

良性腫瘍
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
悪性腫瘍
類内膜間質

混合型上皮性間葉系腫瘍

良性腫瘍
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
悪性腫瘍
腺肉腫
癌肉腫

性索間質性腫瘍

良性腫瘍
繊維腫
莢膜細胞腫
硬化性腹膜炎を伴う
 黄体化莢膜細胞腫
硬化性間質性腫瘍
印環細胞間質性腫瘍
微小嚢胞間質性腫瘍
ライディッヒ細胞腫
ステロイド細胞腫瘍
セルトリ・ライディッヒ細胞腫
(高分化型)
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
富細胞性繊維腫
若年型顆粒膜細胞腫
セルトリ細胞腫
輪状細管を伴う性索腫瘍
セルトリ・ライディッヒ細胞腫(中分化型)
その他の性索間質性腫瘍
成人型顆粒膜細胞腫※
悪性腫瘍
繊維肉腫
悪性ステロイド細胞腫瘍
セルトリ・ライディッヒ細胞腫(低分化型)
成人型顆粒膜細胞腫※
成人型顆粒膜細胞腫※

胚細胞腫瘍

良性腫瘍
成熟奇形腫
良性卵巣甲状腺腫
脂腺腺腫
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
未熟奇形腫(Grade 1~Grade3)※
カルチノイド腫瘍※
悪性腫瘍
未分化胚細胞腫
卵黄嚢腫瘍
胎芽性癌
絨毛癌(非妊娠性)
混合型胚細胞腫瘍
悪性卵巣甲状腺腫(乳頭癌、濾胞癌)
脂腺癌
癌(扁平上皮癌、その他)
未熟奇形腫(Grade 1~Grade3)※
カルチノイド腫瘍※
未熟奇形腫(Grade 1~Grade3)※
カルチノイド腫瘍※

胚細胞・性索間質性腫瘍

良性腫瘍
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
性腺芽腫
分類不能な混合型胚細胞・性索間質性腫瘍
悪性腫瘍

その他

良性腫瘍
卵巣網腺腫
境界悪性腫瘍/ 低悪性度腫瘍
悪性度不明の腫瘍
ウォルフ管腫瘍
傍神経節腫
充実性偽乳頭状腫瘍
悪性腫瘍
卵巣網腺癌
小細胞癌
ウイルムス腫瘍
悪性リンパ腫
形質細胞腫
骨髄性腫瘍

※臨床的取扱いが境界悪性あるいは悪性度不明の腫瘍に準じることがあるにもかかわらず、ICD-Oコードが悪性あるいは上皮内がんである腫瘍[微小乳頭状パターンを伴う漿液性境界悪性腫瘍、成人型顆粒膜細胞腫、未熟奇形腫(Grade 1~Grade 3)、カルチノイド腫瘍]は、あえていずれか一方に分類せず、両方にまたがるように記載した。

進行期(広がりの程度)

卵巣がんの治療は手術療法が原則です。手術によって腫瘍を取り除くとともにお腹の中(腹腔内)を詳しく観察し、摘出した腫瘍を検査してがんの進行期を判定します。
これは今後の治療方針を決定するうえで、とても重要です。
日本では現在、国際基準に合わせた分類(FIGO分類)を用いています。*図3 *4
日本ではⅠ期が48%と最も多く、次いでⅢ期が33%を占めています。*図4 *5

【図3 卵巣がんの進行期】

ステージⅠ卵巣がん

がんが卵巣だけにとどまっている状態

ステージⅡ卵巣がん

がんが骨盤内に広がった状態、すなわち子宮や卵管、直腸・膀胱の腹膜などに広がっている状態

ステージⅢ卵巣がん

がんが骨盤腔をこえて上腹部の腹膜、大網や小腸に転移しているか、リンパ節などに転移している状態

ステージⅣ卵巣がん

がんが肝臓や肺などの遠くの臓器にまで転移(遠隔転移:えんかくてんい)している状態

進行期の内訳

日本では I 期が 48%と最も多く、次いで III 期が 33%を
占めています。*図 4*5

図4 卵巣がんの進行期内訳

卵巣がんについて分からないことがあれば、
ためらわずに医師に質問してみましょう

ご家族と一緒に受診するのも良いかもしれません。ご家族はあなたが考えつかなかったり、尋ねるのを忘れてしまったりした重要な質問をしてくれるかもしれません。治療法の選択肢や決定について話し合う必要があるときにあなたを支えてくれるでしょう。

  • 日本婦人科腫瘍学会(編):患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, p147, 2023
  • 日本婦人科腫瘍学会(編):患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, p148-149, 2023
  • 関根正幸ほか, 産科と婦人科 2015;82:605-610.
  • 日本婦人科腫瘍学会(編):患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, p152-154, 2023
  • 日本産科婦人科学会, 日産婦誌2014; 66:995-1038.

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