がん治療と
向き合うために
婦人科がんと診断されたら、
病気に関する正しい情報を集めて、
治療に向き合う準備をしましょう
主治医や医療スタッフから、病状や治療方針などの説明をしっかり受けて治療に臨みましょう。
また「がん相談支援センター」や本Webサイトを活用し、科学的根拠にもとづいた情報を集めて病気について正しく理解しましょう。あなたを支える主治医やご家族にあなたの気持ちを率直に伝えて話し合い、信頼関係を構築することで最適な治療を実践できます。
治療や日常生活に関する
相談方法・窓口
相談方法・窓口
「セカンドオピニオン」を利用して、現在診療を受けている主治医以外に、別の医療機関の医師の意見を聞くことができます。
これは今後も現在の主治医のもとで治療を受けることを前提にしているものです。
セカンドオピニオンを利用するとき(例)
- がんと診断された。担当医から説明を受けたが、診断について別の医師の意見を聞きたい。
- がんと診断され、治療選択について説明を受けたが、決められない。
- 担当医の意見を別の角度からも検討したい。
- 担当医の話に納得がいかない部分がある。
-
再発
手術や薬物療法、放射線治療などの治療により、検査でがんがなくなったことを確認した後、再びがんが現れることをいいます。
国立がん研究センターがん情報サービス
「セカンドオピニオン」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/second_opinion.html、2024年9月確認)

- 治療のこと
- 希少がんのこと
- 療養生活、制度やサービス
- 今の気持ち、不安や心配など
- 家族とのかかわり
- 医療者とのかかわり
- AYA世代(15歳~30歳代)のがんのこと
- 妊よう性、性に関すること
国立がん研究センターがん情報サービス 「『がん相談支援センター』とは」
(https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html、2024年9月確認)
「がん相談支援センター」では、診断や治療の状況にかかわらず、どんなタイミングでも無料で「セカンドオピニオン」を含めた様々なことを相談できます。
その悩み、話してみませんか?がん相談支援センターで相談できること|がんになっても
がんの広がりと
進行期分類
進行期分類
がんの位置や広がりを評価して、進行期を判定します。治療方針は進行期にもとづいて検討されます。
卵巣がんと子宮体がんでは、手術前に正確な進行期を判定することが難しいため、
手術で摘出した組織から判定します(手術進行期分類)。
卵巣がんでは、手術の前に術前化学療法という薬物治療を行い、腫瘍をできるだけ小さくしてから手術を行う場合があります。
日本では国際基準であるFIGO分類にもとづいて進行期を判定します。
卵巣がん
川名 敬, 日産婦誌 2023; 75: 1580より作図
子宮体がん
川名 敬, 日産婦誌 2023; 75: 1559より作図
子宮頸がん
川名 敬, 日産婦誌 2023; 75: 1537より作図

がん治療の流れ
各種検査や手術により得られた情報から判定した進行期などをもとに、一人ひとりの状態にあわせた治療方針を検討します。
また、治療薬を選ぶために遺伝子検査を行うことがあります。
進行がんや再発がんと診断された場合は、がんの位置や広がり、以前治療で行った治療などをもとに治療方針を検討します。
婦人科がんの診断
各種検査や手術による
進行期の判定
再発リスクの予測
検査
手術
進行期や再発リスクに応じた
治療方針の検討
経過観察
薬物治療
放射線治療など
日本婦人科腫瘍学会(編): 子宮体がん治療ガイドライン 2023年版, 金原出版, 2023
日本婦人科腫瘍学会(編): 子宮頸癌治療ガイドライン 2022年版, 金原出版, 2022
日本婦人科腫瘍学会(編):卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版, 金原出版, 2022 より作成
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遺伝子検査
遺伝子情報を知るためにおこなう検査のことをいいます。一部のがんでは、がん組織中の遺伝子を調べる検査、親から受け継いでいる遺伝子を調べる検査がおこなわれます。患者さん一人ひとりに適した個別化医療のためには、遺伝子検査の情報が必要となることがあります。
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再発
手術や薬物療法、放射線治療などの治療により、検査でがんがなくなったことを確認した後、再びがんが現れることをいいます。
婦人科がんで検出される
遺伝子の変異
遺伝子の変異
卵巣がんや子宮体がんでは、BRCA変異や高頻度マイクロサテライト不安定性/DNAミスマッチ修復機能欠損(MSI-High/dMMR)、がん細胞が持つ遺伝子変異の数が高い(腫瘍遺伝子変異量が高い:TMB-High)状態などが一定の割合でみられることが知られています。
MSI/MMR:Microsatellite instability/Mismatch repair
TMB:Tumor mutation burden
検出頻度(海外データ:固形がん)
Sokol ES, et al. JCO Precis Oncol 2020; 4: 442-465 より作成
(日本人:固形がん)
Akagi K, et al. Cancer Sci 2021; 112: 1105-1113 より作成
(海外データ)
Chan TA, et al. Ann Oncol 2019; 30: 44-56. より作成
生検
病変の一部をとって、顕微鏡で詳しく調べる検査のことをいいます。手術や内視鏡検査時に採取したり、体外から細い針を刺して採取したりする方法があります。
遺伝子検査
遺伝子情報を知るためにおこなう検査のことをいいます。一部のがんでは、がん組織中の遺伝子を調べる検査、親から受け継いでいる遺伝子を調べる検査がおこなわれます。患者さん一人ひとりに適した個別化医療のためには、遺伝子検査の情報が必要となることがあります。
その結果にもとづいて、一人ひとりに適した治療薬を選択できる場合があります。
詳しくは主治医にご相談ください。
治療による副作用
副作用の発現には個人差があり、一人ひとり症状や発現時期、症状の程度が異なります。
普段と体調がちがうと感じるときは主治医や医療スタッフに相談しましょう。
また、体調不良を感じたときは、いつ、どのような症状であったか、症状にあわせてお薬を服用したかなどを記録しておきましょう。
手術後や薬物治療中など自宅で体調不良を感じるときは、ご自身で判断せずに、主治医や医療スタッフに連絡して対応を相談しましょう。
- 便秘が続き、吐き気や嘔吐に腹痛を伴うとき
- 普段よりも1日の排便回数が4回以上増加したり、発熱や強い腹痛を伴う下痢があるとき
- 吐き気や嘔吐などにより、水分や食事がとれないとき
- 足の痛みや急なむくみ、息切れや息苦しさ、胸の痛みがあるとき
- 38℃以上の発熱があるとき
- 急激な血圧上昇や強い頭痛、ろれつが回らないなどの症状があるとき
これらの症状は一例です。その他にも体調不良や気になる症状があるときは、
我慢せずに主治医や医療スタッフに連絡しましょう。
心身ともにゆっくりと治療の疲れを癒しましょう
今後の生活も体調に気をつけてお過ごしください
主治医と相談しながら、体調に気をつけて日々の生活を送りましょう。
心身を健康な状態に保つために、生活習慣や食事習慣の改善も大切なことです。体調不良を感じるときは、我慢せずに主治医や医療スタッフに相談しましょう。
